ヨーガ・スートラ 2・10
- 2023.11.25
2・10 これらの煩悩は、それが潜在、未発の微妙な形態で存在する間は、心の逆転変によって初めて除去することができる。「ヨーガ根本教典」佐保田鶴治著
佐保田鶴治先生の解説より~~~
~~~心の逆転変というのは、心がこれまでとは逆の方向に転変することである。心(心理作用の本体)は、元来、真我の世界経験とそれからの解脱という二つのことを目的としていろいろな心理器官とそのはたらきという形で転変(展開)してきたのであるから、ヨーガの修習によって真我が自らの実相を悟ったならば、そこで心の任務は完了したことになる。任務を完了し目的を遂げた心は、その転変を今までとは逆の方向て向けかえる。つまり、今まで転変してきたいろいろな煩悩の行をだんだんに、心の本源である自性のなかへ還元させていく。これが逆転変といわれるものなのである。それによって解脱が来る。逆転変は還元、退行、完滅の意味である。
10 これらの障害が微妙な状態にあるときは、始源の原因【=自我】に還元することによって破壊することができる。
「インテグル・ヨーガ」スワミ・サッチダーナンダ著 伊藤久子訳
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中学生の理科で酸化銅を銅に還元するという化学反応の実験があります。
真っ黒な酸化銅に真っ黒な炭素の粉末をよく混ぜてアルミホイルで包みます。それを試験管の底に入れてガスバーナーで加熱すると、不思議なことに、真っ黒だった酸化銅が茶色の粉末に変化します。この粉末を薬さじなどでこすると、金属光沢が出てきて銅に変化したことが分かります。
酸化銅が炭素で還元されて、単体の銅になったというわけです。ついでに、発生する気体は石灰水を白く濁らせるので、二酸化炭素だと分かります。酸素と炭素が結合したというわけです。
真っ黒な煩悩が真っ白な光の自性へと還元されていく。
酸化銅が銅に還元されるためには、炭素が必要でした。煩悩にとって還元剤となってくれるのは一体何なのかしら・・・?・・・私は、それは”気付き”ではないかと思います。「これは煩悩だ」と”気が付く”ことで、本来の自分に還っていけるのではないかと思うのです。
”気”づいていきましょう。(花)